映画「マネーショート 華麗なる大逆転」(vol. 1:映画&キーワード解説編)
映画 「マネーショート 華麗なる大逆転」(原題:Big Short)
自分自身、実際に仮想通貨に投資をし始めて、この映画の面白さが本当に分かった気がします
マネー・ショート予告編(ショートバージョン)
内容が盛りだくさんなので、
①映画&金融キーワード解説編
②予告編を使った英会話
の2部構成としようと思います。
映画「マネーボール」の原作者マイケル・ルイスの「世紀の空売り 世界経済の破綻に賭けた男たち」を元に、サブプライムローンのデフォルト(default:債務不履行)、さらに世界経済破綻を予想し一攫千金を狙った4人の男たちの実話。
監督は「俺たちニュースキャスター(Anchorman)」、「俺たちステップ・ブラザーズ(Step Brothers)」、「俺たちスーパー・ポリティシャン めざせ下院議員!(The Campaign)」などの「俺たち〜」シリーズや「奥様は魔女(Bewitched)」で人気のアダム・マッケイ。
マッケイ監督作品はコメディ映画が多いため、今回のマネーショートもコメディタッチでは描かれているのですが、扱う内容が金融経済ということもあって、多少の知識がないと全く頭に入ってこないかもしれません。
そこで、これから観られる方に簡単にアメリカの住宅バブル 〜 リーマンショックまでの流れと映画で何度も出てくるサブプライムローンなどの金融キーワードを分かりやすく(多分…)説明したいと思います。
(金融・投資ブログじゃないので、あくまでも簡単にです)
<アメリカの住宅ブーム>
2008年に起きたリーマンショック、世界的金融パニックを理解する上で「サブプライムローン」とは何かを知る必要があります。
サブプライムローン(subprime loan)の説明の前に、まず対義語の「プライムローン(prime loan)」が何か説明します。
アルバイトで生計を立てている方と比べ、きちんとした会社で正社員として働いている人の方が経済的信用度は高く、住宅ローンは組みやすいですよね?
プライムローンというのはそのような「信用度の高い人向け」のローンのこと。
一方で、新入社員や低所得の人々は返済能力も低く、経済的信用度も当然低くなります。
ということは、もちろんローンを組みにくくなります。
でもマイホームは持ちたい…
そこで登場したのが、低所得者も簡単に組めてしまう「サブプライムローン(subprime loan)」というわけ。
低所得者に貸し付けるローンは返済されない可能性もあるため、当然金利は高く設定されます。
ですが、たとえ金利が高く返済がストップしてしまう人が増えたとしても、他の債務者が高い金利を払って返済してくれれば住宅ローン会社としては十分な利益を得ることができるため、バンバンお金を貸し出しました。
当時は所得証明も頭金も必要なかったっていうから驚きです!
住宅バブルがはじける以前のアメリカでは、不動産の価格は右肩上がり。
サブプライムローンの登場により、低所得者層も「ローンが払えなくなったら家を売ればいいや」的な、簡単な感覚で家を購入してしまいました。
家を買う人が多くなれば、当然不動産価格も高騰。 アメリカは空前の住宅バブルとなります。
<債権の商品化>
先に説明したようにサブプライムローンは高金利のため、返済できない人が多くなる可能性はあります。
住宅金融会社もバカじゃないので、リスクを避ける行動に出ます。
リスクを避けるにはどうすればいいか? 債権(お金を返してもらう権利)を手放す、つまり「債権を商品化して売っちゃえ!」ってわけ。
そして、この債権を世界中の投資銀行に売り付け、中でも一番多く買ったのが、リーマン・ブラザーズでした。
<住宅バブルの崩壊>
冷静に考えれば分かることだと思うのですが、住宅価格の高騰はいつまでも続きません。
ついに不動産価格が急落します。
↓
「世の中一体何が起きるか分からない」 1929年に起きた世界恐慌同様、金融パニックに陥ります。
↓
「サブプライムローンをたくさん所有してるリーマンってやばいんじゃね?」
((((;゚Д゚)))))))
こんな憶測から、リーマン・ブラザーズにお金を預ける人がいなくなります。
↓
↓
「リーマンが倒産って他の銀行もやっべっぞ!」
((((;´・ω・`)))
不安は不安を呼び、ついに世界中でお金の流れがストップしてしまいました…
と、こんな感じです。
では、次に映画の中で何度も出てくるキーワードを説明します。
①MBS(不動産担保証券:Mortgage-Backed Security)
先ほど「住宅ローンを返済してもらう権利(債権)を商品として売った」と書きましたが、この証券のことを指します。 モーゲージ債とも言います。
②Short(ショート:空売り)
証券会社から株を“借りて”すぐに売却し、その株が値下がりした時に買い戻すことで利益を得る手法を「空売り」といいます。
タイトルの「マネーショート」もここから来ています。
「空売り」は空っぽの物を売るから空売り。 株を所有していなくても取引ができるんです。
たとえば、あなたが投資家だとして、Aという証券会社から100株“借りた”とします。 (購入したわけではありません)
その時点で相場が1株1万円だったとして、この株をすぐ売れば手元に1万×100株で100万円が入りますよね?
わーい、100万ゲット! 儲かったぁ! \(^o^)/ …
というわけにはいきません。
ここでポイントとなってくるのは、証券会社Aからは株を購入した訳ではなく“借りた”だけ、ということ。
だって、借りたものを売って自分だけ儲けて、はいサヨナラ〜 ってなったら相手は黙ってませんから。
「人から借りたものは必ず返しなさい」とお婆ちゃんから教わりましたよね?
当然、100株分は借りたものなので証券会社Aに返さないといけません。
でも株は売っちゃったし…
とはいえ、すぐ買い戻してしまったら100万円で売ったものを100万円で買ったことになり、まったく意味がないことをしてただけ、となってしまいます。
そこで投資家でもあるあなたは、売却した100株の値が下がるのを待ちます。
1ヶ月後、株価をチェックすると、当初1万だった株が8千円に値下がりしているじゃないですか!
♪───O(≧∇≦)O────♪
これ以上の値下がりは期待できないと判断したあなたは、このタイミングで100株分を買い戻します。
これで証券会社Aに100株分を返すことができそうです。
100株を買うのにかかった金額はというと、 8千円×100株で80万円です。 最初に100株分を借りてすぐ売却した際、手に入ったお金は100万円。
値下がりした株を買い戻すのにかかったお金は80万円。
差し引き20万円で、あなたは20万円の利益を手に入れることができました。
借りた物も返せてお婆ちゃんとの約束も守れたし、お金も儲かった。 めでたしめでたし。 ちゃんちゃん…
「こんな事ができるなら、みんな空売りすればいいじゃん!」 って思うでしょ?
でもね、世の中そんなに甘くないんです。
借りた株を返却する期日は6ヶ月。 6ヶ月以内に株価が下がらない場合、儲けは出ません。 さらに最悪、株価が上がれば買い戻しによって損失が出ることも考えられます。 映画では、この空売りをして儲けようというシーンが多く出てきます。
③CDO(Collateralized Debt Obligation:債務担保証券)
名前からイメージするのは難しいと思いますが、簡単に言うと、デフォルト(債務不履行)になり得るサブプライムローンや上記MBSをごちゃごちゃに混ぜ、「ハイリターンで安全。お得な商品ですよ〜」と謳った詐欺まがいの商品。
格付け会社がしっかりと調べないでこれをAAAなどのランクを付けたもんだから、信用度が増し、世界中の銀行はこのCDOを買いまくりました。 格付け会社なんて信用できたもんじゃないです! (♯`∧´)
④CDS(Credit Default Swap:クレジット・デフォルト・スワップ)
手持ちの債権の価値が急落した場合、損失額を補填するという一種の保険のようなもので、債権の価値が暴落するまで、毎月保険料(premium)を払い続ける必要があります。
車の任意保険や生命保険と同じような物、と考えるとイメージしやすいかと。
事故を起こさないに越したことはないのですが、事故を起こさなければ保険料だけを払い続けなくてはならない。
とは言っても、保険がないと万一人身事故を起こしてしまった場合、かなりの金額を支払わなくてはいけません。
映画ではヘッジファンド・オーナーで主人公のマイケル・バーリは住宅ローン市場の崩壊を見越し、ものすごい額のCDSを買うのですが、彼の顧客投資家は「この住宅ブームの最中、CDOやMBSの価値が下がるなんてありえない。俺の金返せ〜!」と猛反発します。
CDSを売る投資銀行も「CDOやMBS暴落するわけないのに、こんな取引してくるなんてバカなやつだ。
保険料ガッポリですわ」とばかりに喜んでCDSを売りまくります。
今回説明してきた
1. 空売り
2. MBS
3. CDO
4. CDS
これら4つのキーワードを抑えておけば、映画を楽しく観ることができると思います。
うーん、結局経済ブログみたいになってしまいました。 (´・_・`)
次回は予告編の英語表現を見ていこうと思います。 長々と最後まで読んでいただきありがとうございました。
「マネーショート 華麗なる大逆転」予告編で英会話も見て頂けるとありがたいです。
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